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あまねさんの あまねさんによる 投資活動研究帳。

【1606】日本海洋掘削についての考察/銘柄分析

【1606】日本海洋掘削に何があったのか

2018年3月期決算で債務超過となってしまった日本海洋掘削に、いま何が起きているのか。私が調べた範囲でまとめてみました。

 

まとめてみたら、かなり長くなってしまったので流れを簡単に述べておきます。

 

1、原油高で景気の良いときに、完成後リースをしてもらうつもりでリグを発注

2、発注から間もなく原油相場の下落が始まり、海洋掘削市場が低迷

3、リグの納期を延期し、その間に掘削契約の受注を試みるも叶わず

4、取り決めにより、リース予定のリグと諸費用を一括で負担し買い取ることに

5、さらにリグの減損やら各種引当金を積んだら債務超過になってしまった

6、財務悪化をトリガーにさらなる将来負担の見込みが発生

7、お金がない、大株主も増資に応じない、銀行も貸してくれない

8、リグを発注した当事者たちが引責辞任という形で後任に処理を丸投げ

9、新任の社外取締役候補の専門分野が「事業再生と倒産処理」

10、7~9が判明した時点から株価が連日下落している ←今ここ

※6月22日追記ここから

11、会社更生手続開始の申立て等に関するお知らせ(やっぱり無理でした)

※追記ここまで

 

これだけでどんな状況かは察してもらえると思います。

1~6までは4月26日の適時開示資料に詳しく述べられています。

平成30年3月期通期連結業績予想の修正等に関するご説明とお詫び

 

暴落の発端となったのは6月7日の2つの適時開示です。

代表取締役および役員の異動ならびに組織変更に関するお知らせ

「平成30 年3月期 決算短信 〔日本基準〕(連結)」の一部変更について

この2つの適時開示を合わせて読むことで、何かが起きそうだと感じた人が出てきても不思議ではありません。

 

そういうわけで決算資料を深掘りして日本海洋掘削を取り巻く環境を整理してみたいと思います。

 

2018年3月期決算をざっくり読み解く

平成30年3月期決算短信[連結]によると

   売上高 202億円

  営業損失 114億円

  経常損失 120億円

 当期純損失 454億円(一株当たり当期純損失2525円)

純資産マイナス155億円(債務超過

自己資本比率 マイナス23.4%

一株当たり純資産 マイナス914.7円

となっています。ぶっちゃけかなりひどいです。

 

損失の大部分は、保有している海洋掘削機械である『リグ』にまつわるものです。

1、HAKURYU-12に係るリース契約損失引当金 51億円

2、HAKURYU-15の建造プロジェクト損失引当金 171億円

3、保有リグの減損損失 151億円

4、本業である海洋掘削事業の営業赤字 116億円(1の51億円も原価として含む)

 

ざっくり2+3+4を計算してみても430億円超の損失、本業が儲からなくなったためにリグの減損損失を計上し、財務が悪化したことで過去の契約についても損失引当金を計上するという負のドミノ倒しが見受けられます。これらが一気に噴出したことで驚異的な赤字になったようです。

 

次に、大赤字の原因となっている海洋掘削機械のリグについて調べてみます。

 

海洋掘削機械『リグ』について

 海洋掘削事業やリグについての詳細は日本海洋掘削のウェブサイトで詳しく説明されているので、ここでは資産としてのリグの価値に焦点を当ててみます。

 www.jdc.co.jp

日本海洋掘削保有するリグと船齢一覧

 日本海洋掘削が主に運用していると思われる白竜(HAKURYU)シリーズについてまとめてみます。

 

1958年建造 HAKURYU-1(白竜号→第一白竜に改名)

  1971年 石油資源開発より購入

  1986年 廃船、売却

1971年建造 HAKURYU-2

  1971年 石油開発公団より借り受け

  1983年 石油開発公団より譲り受け

  1988年 廃船、売却

1974年建造 HAKURYU-3(NAGA 1に改名)

  2017年 売却

1975年建造 HAKURYU-4

  1988年 売却

1977年建造 HAKURYU-5

  2009年 大規模改造

  2014年 大規模改造

1978年建造 HAKURYU-6

  1988年 売却

1981年建造 HAKURYU-7(SAGADRIL-2に改名)

1981年建造 HAKURYU-8

  2004年 カタール国営石油との合弁会社へ現物出資

  2014年 持ち分を譲渡し合弁関係解消

1984年建造 HAKURYU-9(SAGADRIL-1に改名)

2008年建造 HAKURYU-10

2013年建造 HAKURYU-11

2015年建造 HAKURYU-12

  2015年 東銀リースよりリース契約

       HAKURYU-13 欠番

2018年建造 HAKURYU-14

2019年建造 HAKURYU-15

  ※太字は現在の運用リグ

 参考資料:日本海洋掘削の沿革 | Stockclip決算説明資料

 

現在の運用リグ状況をまとめてみます

1977年 HAKURYU-5(大規模改造済)

1981年 HAKURYU-7(SAGADRIL-2)

1984年 HAKURYU-9(SAGADRIL-1)

2008年 HAKURYU-10

2013年 HAKURYU-11

2015年 HAKURYU-12(リース)※リース契約損失引当金 51億円

2018年 HAKURYU-14 ※2018/7/31 179億円支払い予定(資金の目途立たず)

2019年 HAKURYU-15 ※建造プロジェクト損失引当金 171億円

 

上記のとおり、所有リグ6基、リース1基、リース予定1基となっています。

東銀リースは旧東京銀行(現三菱UFJ銀行)系のリース会社です。

換金可能な資産という意味では10号、11号、14号ぐらいだと思いますが10号、11号は2019年3月期にも操業契約が残っているので厳しそうです。未稼働の14号がどう転ぶかに社運がかかっているとも言えます。

 

世界で稼働するリグを取り巻く環境

決算説明資料によると2018年3月時点で世界全体の総リグ数は874基。

稼働リグ数は499基で稼働率は57.1%

1年間で市場から退出したリグの平均船齢は34.6歳とのことです。

逆算すると1983年以前のリグは引退年齢ということになります。

 

資料を見るとオイルショック後に量産されたリグの更新需要と、近年の原油相場の高止まりがフィットして新造リグが大量に供給されました。現在もリグは建造され、明らかに供給過剰に陥っています。

 

日本海洋掘削の財務諸表

 平成30年3月期決算短信[連結]連結貸借対照表から財務を見ていきます。

 

財務健全性の指標とされる流動比率

 流動資産 494億円(2017年) → 294億円(2018年)

 流動負債 173億円(2017年) → 606億円(2018年)

 流動比率 285.54%(2017年) → 48.51%(2018年)

前年同期の数字と比べると変化の大きさが際立ちます。

これだけでかなり切羽詰まってる状況がうかがえます。

 

流動負債の中でも特に大きいのが未払金の182億円。

7月31日までに支払わなければならないHAKURYU-14の割賦代金179億円+αです。

そしてリース契約損失引当金の80億円に建造プロジェクト損失引当金の171億円。

 

引当金だけで251億円を計上していますが、流動資産の現金及び預金は172億円。

キャッシュフローで困窮しているのは一目瞭然です。

 

固定資産409億円のうち、機械装置及び運搬具が379億円を占めています。

おそらくHAKURYUシリーズでしょう。ダブついたリグ市場で換金するのは難しそうですね。しかも、このうち55億円分はすでに担保として供されています。

 

※6月15日追記

 6月14日に新たに公開された資料の重要な後発事象に関する注記によると、

5月25日付で、HAKURYU-11に係る有形固定資産137億円を長期借入金108億円の担保として提供したとあります。金融機関の側も債権保全せざるを得ない状況です。

※追記ここまで

 

次に注目したいのは財務活動によるキャッシュフロー

 短期借入金の純増減額 ゼロ

 長期借入金の返済による支出 28億円

 社債の償還による支出 7億円

手元資金が必要な状況なのは貸借対照表で見たとおりですが、短期借入金も長期借入金も増えていません。明らかに貸し渋っています。資金繰りのピンチです。

 

それどころか財務制限条項によりタームローン契約とリース契約が解除されようとしています。7月20日まで猶予された金額はなんと270億円!

財務制限条項は「決算期末の連結株主資本150億円以上の維持」となっています。

直近の数字はマイナス155億円でした。

絶対値でもいいですか?とはさすがに怖くて聞けません。

 

しかもこの財務制限条項は2017年3月期決算の大赤字を受けて同年4月21日及び4月25日に契約条件を緩和してもらった後のものなのです。緩和前の条件では150億円ではなく400億円だったり、2期連続の営業損失・経常損失を計上しないこととなっていました。

この条件を守れなかった上に倍プッシュでさらに金を貸してくれとはさすがに言えないでしょう。

 

その後、2018年4月26日に期限の利益喪失に係る権利行使を2018年7月20日まで猶予してもらう約束を取り付けましたが、この3ヶ月の猶予期間を使って経営陣が下した決断は、当事者を引責辞任させて後任に後処理を丸投げすることでした。旧経営陣は匙を投げ、敵前逃亡することに決めたのです。

 

人事異動という名の敗戦処理

冒頭で提示した人事異動の資料を見てみましょう。

代表取締役および役員の異動ならびに組織変更に関するお知らせ

 

▼退任予定取締役・監査役執行役員

 ・代表取締役社長(全般統理、経営補佐部門管掌)

 ・代表取締役 副社長執行役員(社長補佐、環境安全室・掘削技術事業部担当)

 ・取締役 副社長執行役員(社長補佐、経営企画室・内部監査室担当)

 ・取締役 専務執行役員(営業統括部門管掌)

 ・社外取締役石油資源開発 顧問)

 ・社外取締役国際石油開発帝石 取締役副社長執行役員

 ・常勤監査役

 ・専務執行役員(掘削事業部門管掌、新リグ建造室担当)

 ・常務執行役員(人材育成室・情報収集室担当、日本マントル・クエス代表取締役社長)

 

石油資源開発は30.97%を保有する筆頭株主で、国際石油開発帝石は6.4%を保有する第三位の株主です。(第二位は20.05%を保有する三菱マテリアル

日本マントル・クエストは地球深部探査船「ちきゅう」の運営管理を行っています。

 

引責辞任と言うにはさすがに重要ポストが多すぎます。そもそも赤字の発端となったリグの始末も終わってないうちに、そのリグの発注関係者が要職を辞するのは異常事態です。「ちきゅう」関連の日本マントル・クエスト社長である常務執行役員まで退任してしまうことには強い違和感を覚えます。

 

新任取締役候補も見ていきましょう。

 

▼新任取締役・監査役執行役員

 ・代表取締役社長執行役員(全般統理、経営企画部・経理部担当・情報開示担当)

 ・代表取締役専務執行役員(社長補佐、総務部・内部監査部担当、リスク管理コンプライアンス担当)

 ・取締役常務執行役員(操業管理部・各事業所・シンガポール事業所・HAKURYU-14/15 操業準備室担当、操業管理部長)

 ・取締役常務執行役員(営業部担当、営業部長)

 ・取締役執行役員(環境安全部・エンジニアリング事業部担当)

 ・社外取締役(弁護士)

 ・常勤監査役

 ・執行役員(ドーハ事業所長兼HAKURYU-10 オペレーションマネージャ)

 ・執行役員(HAKURYU-5 事業所長)

 ・執行役員(総務部長)

 ・執行役員(技術部・新リグ建造室担当)

 

事業部・室の統廃合が行われ、HAKURYUの文字が躍るようになりました。

また社外取締役に弁護士が就任します。タイミングを考えてもこれから会社に起こるであろう出来事の専門家であるに違いありません。

 

社外取締役 弁護士 鶴巻さんの専門を探る

著書やブログやフェイスブックを見ればこの弁護士さんの強みがわかると思うので深堀りしてみましょう。

 

▼著書(一部執筆含む)

貸金業務取扱主任者完全攻略・テキスト&実践問題集

・個人情報保護士試験<完全対策>

個人情報流出対応にみる実践的リスクマネジメント

民事再生申立ての実務(ぎょうせい)

・保証契約の法律相談〔第三版〕(青林書院)

・通常再生の実務Q&A120問―全倒ネットメーリングリストの質疑から(きんざい)

・反社会的勢力リスク管理の実務(商事法務)

 

▼ブログの説明

担保執行法・事業再生及び倒産処理・情報ネットワーク法・民事介入暴力対策などについて気がついたことを書くblogです。

 

中央大学ビジネススクールでの紹介

 担当科目:事業再生と倒産法
 専門分野:民商法・倒産法・情報法

 

フェイスブックでは反社会勢力の記事への言及が目立ちますが、他にも破産債権や担保権、債権保全、抵当権という用語が見受けられます。ブログの説明が最もストレートに専門分野を表現しています。

 

HAKURYUのリース契約と事業再生に期待されているのではないでしょうか。

 

まとめ、これから起こりそうなこと

最後は日本海洋掘削についてこれから起こりそうな出来事を私が妄想して書いていきます。ここまで読んでくれた方は妥当なシナリオだと感じてもらえると思います。

 

シナリオ1

株主総会までなんとかやりすごして7月の新体制へ

・「ちきゅう」の運営部門はスピンオフ、日本マントル・クエストの持ち分も売却

・SAGADRIL-1/2は譲渡

・遅くとも8月中には民事再生法の適用申請へ

・100%減資

上場廃止

・クソ株大賞2018「伝説」部門と「投資」部門のダブル受賞

 

シナリオ2

株主総会の議案で超規模増資案が提示され無事生き延びる(希薄化で株価は暴落)

 

リース契約の取り決めで会社としては想定していなかった莫大な金額をまとめて用立てられたとしても、外部環境が回復途上の本業で埋めるのは現状ではかなり難しいと感じました。

 

リグを保有した上で掘削契約を受注していくビジネスモデルは、外部の需要によって業績の変化が激しく、厳しかったのではないかと思います。しかも世界のリグ総数に比べるとわずか1%のシェアしかありませんし、未稼働のリグは世界に数百基もあり、あえて財務的に苦境にあるこの会社に仕事を発注するインセンティブはなさそうです。

 

特定用途のために設備を保有して受注していくビジネスモデルというと、エルピーダジャパンディスプレイを連想してしまいますが、世界シェアが1%ということはありませんでした。

 

本邦唯一の海洋掘削専門会社という文言も、裏を返せば業績が不安定で誰もやりたがらない仕事なのかもしれません。

 

これだけの悪材料がありながらマーケットでは時価総額250億円という価格が付いているのも驚きですが、増担保規制と貸株注意喚起のみで売り禁にもならずに制度信用で空売りできることに二度ビックリです。今後の行く末を見守りたいと思います。

 

※6月15日追記

6月14日、日証金により6月15日以降の制度信用取引の新規売り禁止措置が発表されました。

※追記ここまで

 

※6月17日追記

機関投資家空売り状況を調べてみました。

6月7日の適時開示を受けてかゴールドマン・サックス空売りに参戦してきました。

スパークス系の投信は2月から目をつけていたようで続々と売り参戦してきています。

 

2018/02/21 SPARX Long-Short 0.540% 97,700株 NEW

2018/03/13 SPARX Long-Short 0.620% 112,800株 +15,100

2018/03/28 SPARX Long-Short 0.750% 136,700株 +23,900

2018/04/20 SPARX Long-Short 0.800% 144,500株 +7,800

 

2018/03/22 SPARX Symphonia 0.530% 95,400株 NEW

2018/05/28 SPARX Symphonia 0.680% 122,400株 +27,000

2018/05/31 SPARX Symphonia 0.740% 133,900株 +11,500

2018/06/11 SPARX Symphonia 0.820% 148,100株 +14,200

 

2018/04/06 SPARX Medium L&S 0.530% 95,600株 NEW

2018/04/16 SPARX Medium L&S 0.600% 108,900株 +13,300

2018/05/16 SPARX Medium L&S 0.730% 132,200株 +23,300

 

2018/06/11 GOLDMAN SACHS 0.590% 106,319株 NEW

2018/06/12 GOLDMAN SACHS 0.640% 116,019株 +9,700

 

以上、4社合計で空売り残高は540,819株、発行済み株式総数1800万株の3%強に及んでいます。

日本取引所の空売り残高情報によるとMedium L&Sは「ミディアム・レバレッジドL&Sマザーファンド」、Symphoniaは「シンフォニア 適格機関投資家限定」とあります。シンフォニアは年金や金融機関向けの私募ファンドでかなりガチな雰囲気がします。

 

都合のいいことに、スパークスロングショート系投信の月次報告書にそれっぽい記述があるのでまとめてみます。

 

▼2月 月次報告書

設備稼働率が低下し、期間損失が発生しているうえに大規模な設備投資が完成し、資金繰りにも懸念が生じた企業などに注視してショート投資を行なってまいります。

 

▼3月 月次報告書

期間損益の悪化だけでなく事業環境の悪化が長期化したことで、中期的な事業プランに大きな変更が生じ、資金繰りにも懸念が見込まれるようになった企業には、ショート投資を増やしていく方針です。

 

▼4月 月次報告書

業績とは無関係な新聞報道で株価が上昇した企業に対しても、ショート投資を増やしました。その後、事業環境の悪化が長期化したことで機械設備の減損に伴う業績下方修正が発表され、株価は下落基調に戻りましたが、実態価値と時価総額には依然として大きな隔たりがあると考え、ショート投資を継続しています。

 

このショート投資が日本海洋掘削を示していることは疑う余地がありません。

 

参考:1606 日本海洋掘削(株)の空売り残高情報

 ※追記ここまで

 

※6月15日追記

6月14日に定時株主総会の招集ご通知が公開されたのでこれについても簡単に加筆したいと思います。

 

2018年3月期定時株主総会招集ご通知を読み解く

2018年3月期定時株主総会招集ご通知が公開されました。

2017年3月期定時株主総会招集ご通知と比較して変化を読み取っていきます。

昨年は5月29日に資料が公開されましたが、今年は6月14日と大幅に遅れました。株主総会の2週間前までに株主に資料が届くのが普通なのでギリギリのスケジュールです。

慌てて資料を作成したのか2018年の招集ご通知のpdfはモノクロになっています。

40分程度の株主説明会は毎年恒例のようです。

 

        2017年         2018年

資料公開   5月29日(月)     6月14日(木)

日程     6月22日(木)     6月29日(金)

場所   大手町サピアタワー   秋葉原ビジネスセンター

お土産     お菓子?       ありません

 

重要な子会社の状況では「ちきゅう」関連の会社が2つ追加されています。

 

過去の資料を遡ってみたところ、対処すべき課題の部分で面白い発見をしました。

2010年には『平成22年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2011年には『平成23年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2012年には『平成24年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2013年には『平成25年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2014年には『平成26年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2015年には『平成27年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2016年には『平成28年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を、

2017年には『平成29年度を初年度とする3ヶ年の「中期経営戦略」』を設定し、

2018年となる今年は「中期経営戦略」という文言はおろか「中期」という単語自体が消滅しました。2009年の上場から毎年設定されていた3ヶ年の中期経営戦略とは何のために設定していたのか、誰か株主総会で聞いてみてください。

 

そして、2018で追加された文言で私にとって最も印象的だったのが次の一文です。

 

<株主の皆様へ>
例年、定時株主総会終了後お届けしておりました「JDC Business Report」について、本年は発送を取りやめさせていただくことになりました。何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。

 

前年のカレンダー廃止に続き、株主総会のお土産も廃止、果てはBusiness Reportまで廃止してしまいました。

カットしたいのは経費なのか、株主との関係性なのか、判断に悩むところです。

 

以上が、日本海洋掘削についての私の考察です。

 

おわりに

私は普段、ここまで詳細に資料を読み込むことはありません。 ポートフォリオの組み入れ金額1位の銘柄でも資料ひとつを隅々まで読んだりはしません。そんな人間の何かを突き動かす要素が、この会社の最近の適時開示資料のどこかにあったのかもしれません。調べれば調べるほど、私がこの会社の株主名簿に登録されていないのが残念でなりません。幸か不幸か株主総会に参加できる株主さんは、私の分までこの会社を見届けてきてください。

 

長々と読んでいただき、ありがとうございました。